火垂るの墓

相変わらず『火垂るの墓』にこだわる鴨です。こんにちは。おそらく一生こだわり続けるに違いない。

で、去年映画館で実写版を見たのですが、今日はうちでテレビでアニメ版を見ました。アニメは子供が見ることを想定しているためか、「戦争で焼け出されたかわいそうな兄妹の物語」、悪いのは戦争、という話になっていました。実写版はもっとえぐいんですけどね。

実写版は、戦争を問うだけでなく、極限状態で露わになる人間の弱さとか醜さとか理不尽さとかを描き出していたのですが。そしてそれが野坂昭如焼け跡闇市派の原点なのですけどね。

それまで植えつけられてきた価値観がただの建前と化して崩壊し、一方で身近で支えてくれるはずの人に裏切られる。建前を守ろうとしたいい人は守ろうとしたため空襲で逃げ遅れて死に、人望を集めていた校長先生は、学校で暮らしていたホームレスが出した火のためにご真影を焼いてしまい、その結果最後に自死に追い込まれる。どちらにしても理不尽な死。

そういう中で信じられるものを失った野坂がたどり着いたのがエロだった、で、エロ小説家になった、ということなのだそうだ。

そんなドロドロした面は今日放映のアニメからはだいぶそぎ落とされていました。ま、子供が見るものだからいいんですが。

ただ、「火垂るの墓」というタイトルの由来になるエピソードもなくなっていたのはいかがなものかと。