通販番組のニセの体験談

仕事をしながら意味もなく深夜までテレビをつけていると、通販番組が始まることがあります。毎回毎回同じ商品を同じように売っているので、真剣に聞いているわけではなくてもだんだん細かいことに気がつくようになります。

そしてある番組で気づきました。あの体験談はニセモノだと。本人が自分の言葉で語っているのではなくて、だれかほかの人が用意した原稿を読んでいるのだ、と。

それはですね、どこぞの旅館の主人が通販で画期的な寝具を見つけて全部屋に導入したところ、たいへん評判がよかった、という話に出てくる次のセリフ。

「…というほうが多いです」

最初聞いたときは、「え、なんでここで比較?」と思ったものの、そのまま忘れてしまったのですが、何回か聞いて気がついたのです。

これはきっと

「…という方が多いです」

という原稿があって、あの体験を語っている人はこれを読んだのに違いない。

そしてこの「方」、書いた人は「かた」のつもりだったのに、読んだ人は「ほう」と読んでしまったのに違いない、と。

あの番組の場合、ここは「かた」の方が明らかに意味が通じるのです。旅館のお客さんを主人が「〜な かた」というのは自然。

ということであの体験談は俳優が原稿を読んでいるのですわ、きっと。