「批判的に読む」ためのお作法

先日のこと。某他大学の院生が指導教官から自分の本を批判するように言われたと言っていたので、それじゃあということで、心がけるべきことを2点だけ申し述べておきました。

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(1) 断片に注目するのではなく、全体の論理構造を見ること。

(2) 批判する前に、まずは共感的に理解すること。

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(1)は、揚げ足取りにならない批判をするのに必要なこと。

(2)の前提としては、「理解できていないものは批判できない」ということがあります。「誰かの議論を批判する」とは「その議論が間違っているということを示す」ということなので、これは理解していないものについてはできません。というか、著者と同等か、著者以上に著者の議論を理解していないとできない。

そしてそのような理解をするためには、「たとえばこれこれの突っ込みを受けたら著者はどのように返すか」ということの予測ができるくらいであることが望ましい。つまり、著者の立場に立って著者の議論を再現ないし「発展」させられることが望ましい。

そのためには共感的な理解が必要になるわけです。

私としては、ぜひ若いうちから上の2点には留意してほしいと思うわけです。



http://d.hatena.ne.jp/shunpei/20100306#p1