つづき: 「批判的に読む」ためのお作法

前にもどこかに書いたかもしれないけど、(物騒なメタファーで言うならば)心臓をぶち抜くような批判と、指先を切り落とすような批判、さらには盲腸を切り取るような批判は区別しなければいけません。

盲腸は切り取ってもとくに害はないでしょう。指先を切り落とされれば少しは困りますが、身体全体はぴんぴんしていることも普通にあるでしょう。でも、心臓をぶち抜かれたら即死です。

そして心臓というのは外からは見えないもの。指先は見えます。ぱっと眼についた切り落としやすそうな指先を切り落として相手を倒したつもりになってはいけない。

さらに人間の身体と違って議論というのは、何が指先に相当するかもなかなか見えません。心臓はなおさら。

なので、心臓をぶち抜くような批判をしたければ、まずはきちんと(共感的に)理解しなくてはいけないと思うのです。

批判するつもりで読むと、とりあえず目につきやすい断片に注意が行きがちなのではないかと思うわけです。